中国のオフショア開発の特徴

オフショア開発国を検討する際に、コミュニケーションや価格の比較と同時にどの国にするか?という大きな選択が必要となります。欧米と比較してアジアはコストパフォーマンスが良いという印象がありますが、実はそれぞれの国によって価格だけでは語ることができない要素が多くあります。それは言語であったり文化であったり、IT技術の発展レベルであったり様々です。

比較要素の多いオフショア開発国選びですが、少しでもスムーズに検討できるよう、オフショア開発に関する資料などから開発国選びの際に役立つ情報を国ごとにまとめました。

このページではオフショア開発で日本との取引実績の多い中国について、国の基礎知識や特徴、日本語レベル、IT技術レベル、単価相場、メリットやデメリットについて紹介しています。

中国のIT技術レベル

中国は世界のオフショア開発国としてオフショア開発の実績も多く、人口と比例してエンジニアの数も技術も高い国です。中国は、科学、技術、工学、数学の教育分野を総称したSTEM教育に力を入れており、子供の頃からITに抵抗のない環境で育ちます。国を挙げての推進を行っているので、AI教育は小中学校から始まるという早さです。中国ではSTEM学士号取得者が増加傾向にあり、今後も増加していくと考えられています。

しかし教育者不足や都市部と地方での教育レベルの差など、解決していく課題もまだまだあるようです。

参照元:エコテコ(https://coeteco.jp/articles/10707
参照元:科学技術・学術政策研究所(https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2019/RM283_35.html

オフショア開発に必要な
コミュニケーションレベル

オフショア開発で成功となるキーポイントは、担当者とのコミュニケーションです。

中国と日本は互いに貿易相手でありビジネスチャンスも多いことから、日本語を学ぶ若者は多く、外語大学での日本語学科や文化研究のほか、日本の大学へ留学する学生も多い状況です。

また日本へ語学留学する学生数は常にトップで、2019年度の日本語教育機関実態調査によると、中国は16,512人と全体の39.7%を占めています。また語学コース修了後の進学率も8割と高い状況です。

参照元:令和元年度 日本語教育機関実態調査、一般財団法人日本語教育振興協会(PDF)(https://www.nisshinkyo.org/article/pdf/overview05.pdf

漢字という共通の文字を持ち、日本語を話すエンジニアなども多く、日本語でのやり取りが可能なオフショア開発企業も多く存在します。

中国のオフショアで
できる案件や技術

IT技術者の数もレベルも実績も多い中国は、大型案件や基幹系システム開発、AI、IoT、ブロックチェーン開発など高度で複雑な案件も対応できる幅の広さがあります。単価の高さは避けられませんが、例えば現在成長中のベトナムやミャンマーでは80人月を要する案件でも、中国のオフショア開発であれば60人月で対応できるというようなケースもあり、結果的には同等または安くつくということも起きるでしょう。複雑な大型案件で技術力を要するなら中国、という選択肢もありそうです。

中国のオフショア開発の
人件費、単価相場

中国の人月単価は以下の通りです。カッコ内の数値は昨年からの上昇率で、すべてのポジションで大きな上昇が見られます。経験と実績、技術力も世界レベルですので、仕方ない状況です。人件費も高騰して、価格という角度からはオフショア開発の魅力はあるとは言えません。

しかし、以前のオフショア開発の主流の大連や沿岸部の大都市ではなく内陸部のオフショア開発を探せば、コストパフォーマンスの良い企業もありそうです。

中国でビジネスを展開していく場合などは、規制などの関係からやはり中国で開発を依頼したほうがスムーズですし、ケースバイケースでの検討が必要となります。

  • プログラマー:41万6,000円(+17.9%)
  • シニアエンジニア:51万5,400円(+20.5%)
  • ブリッジSE:73万5,200円(+51.7%)
  • PM:90万4,200円(+24.4%)

(★引用元:オフショア開発白書2021年版)

中国のオフショア開発の
メリット

エンジニアの単価上昇によりコスト面でのメリットはありませんが、上流工程や大型開発、AI開発など技術レベルを求めるオフショア開発は中国が安定しています。漢字を共有し日本語話者も多いので、中国に進出してビジネス展開をしている日本企業にとっては日本語でやり取りができる点、そして中国国内の規制を理解している点がメリットとなります。

また地方都市でオフショア開発を行っている企業はまだ価格を抑えているところもありますので、大都市だけで探さずに地方も選択肢に入れることで、コストもメリットになるでしょう。

時差が1時間で、フライト時間も短く便数も多い中国は、出張や駐在も他国より便利にできるというメリットもあります。

中国のオフショア開発の
デメリット

エンジニアの人件費上昇は、コスト削減を目的としたオフショア開発という点において最大のデメリットとなるでしょう。

次に国民性の違いと品質管理は、日本人とは根本的に異なります。あくまでも一般的ですが、自我が強くミスや責任を認めないこともあり、ビジネスを進行する時に苦労することがあります。全力で良い仕事をするという感覚もあまりなく、最低限のレベルに達成していればいいという認識の違いがデメリットとなります。しかし、そうでないエンジニアや企業もありますので、オフショア開発選びは慎重に行うことをおすすめします。

中国の基礎知識
- 人口、言語、国民性、
政治、治安、時差など

中国の基礎知識

中国の正式国名は、中華人民共和国(People's Republic of China)で、首都は北京です。面積約960万平方キロメートルの広大な国土に人口約14億人が暮らしています。主な民族は漢民族が総人口の約92%、他に55の少数民族が存在します。公用語は中国語で、主な宗教は仏教、イスラム教、キリスト教などなどです。

中国の通貨は人民元(Yuan)で為替レートは1ドル=約6.37元(2022年4月11日時点)となっています。

(気候)中国の気候はその国土の広さから各地で異なりますが、首都北京の気候は寒さと乾燥の厳しい冬と、雨が多く蒸し暑い夏があります。積雪はほとんどありません。

水道水は飲料可能ですが、硬水のため体が慣れるまではミネラルウォーターを飲むといいでしょう。また大気汚染や鳥インフルエンザ、衛生状態の悪い地方での肝炎への注意も必要です。

(時差)日本との時差は1時間遅れです。日本が正午の時、 中国は午前11時でビジネスにおける連絡は取りやすいでしょう。

日本と中国の関係

政府レベルでの尖閣諸島など東シナ海をめぐる海洋・安全保障問題や日本産食品の輸入規制問題のほか、反日感情など市民レベルでの課題もあり、安定的な関係を保つためにも日本は中国に責任ある行動を強く求めると同時に協力もしていく体制です。

在留邦人数は111,769人(外務省海外在留邦人数調査統計、2020年10月1日時点)で、在日中国人数は778,112人(法務省在留外国人統計、2020年12月末時点)と非常に多くの中国人が日本に在住しています。

公館は北京に在中華人民共和国日本国大使館、広州、上海、重慶、瀋陽、青島、香港に領事館、大連に領事事務所があります。

中国の経済

中国の主要産業は第三次産業(名目GDPの54.5%)、第二次産業(同37.8%)、第一次産業(同7.7%)の順(2020年、国家統計局)で、名目GDPは約101兆5986億元(2020年、中国国家統計局)または約14兆8,667億ドル(2020年、IMF(推計値))、一人当たりGDPは約72,447元(2020年、中国国家統計局、暫定値)または約10,511ドル(2020年、IMF、推計値)となっています。経済成長率と物価上昇率はそれぞれ2.3%と2.5%(共に2020年、中国国家統計局)。

中国にとって日本は輸出入とも主要貿易相手国の一つであり、日本にとって中国は最大の貿易相手国です。また日系企業の海外拠点数においても中国は1位となっています。

中国の政治体制と治安について

政体は人民民主専政で、共産党の習近平(総書記)を国家主席とし、全国人民代表大会を議会としています。

全体的な治安は安定していますが、急速な車社会の発展で交通事故は多発しています。邦人の被害例としては、空港やタクシー、ホテル利用時のスリ、置き引き、ひったくりのほか、市内観光やぼったくりバー、偽札やカードスキミング、詐欺などが報告されています。

また歴史上の記念日などに反日感情が強まることも覚えておきましょう。

参照元:外務省海外安全ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_015.html

まとめ

 

国家レベルで小学校からIT教育に力を入れている中国は、その長いオフショア開発の実績と共に優秀なエンジニアが育ち、グローバルに大型案件や上流工程の開発ができるオフショア大国となりました。日本語のできるエンジニアも多く、時差も少ないことからオフショア開発として利用してきた日本企業も多くあります。しかし、人件費の高騰や考え方の違いから、ハイクオリティーで安価なオフショア開発先としての魅力は減りつつあります。

一方で複雑な大型案件やグローバル開発などの依頼先として検討する場合は、中国は良い候補となるでしょう。

中国のオフショア開発に
対応している会社リスト

 

オフショア開発会社カタログ
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